加齢に伴う難聴は、高い音から次第に聞き取りが難しくなります。例えば"竹下さん(Ta-Ke-Shi-Ta-Sa-n)"という言葉が、子音(T,K,Sh,T,S)が聞こえなくなり、"あえいああん(a-e-i-a-a-n)"という風に聞こえてしまうのです。このような症状から、聞き返すことが多くなることがあります。
正面の場合、相手の表情などから話しかけられている内容の判断も可能であるのに対し、後ろからの呼びかけには対応出来ない場合があります。
聴力が低下した場合は、個々に聞こえにくい周波数(音の高低)があるために違う音に聞こえ、結果的に、言葉の聞き違いが起こりやすくなります。
「聞こえ」の力が弱まってくると、音の方向感・音を捉える距離感が弱くなります。音を捉えることが出来ず、車の接近に気がつかない場合があります。
人間は常に自分の声を聞いて、声の大きさを調節しています。声が大きいということは、聴力が低下し、自分の声の大きさを把握できなくなっている場合があります。
数人以上の会議などでは、どうしても相手との距離が離れるため、人の声は小さくなり、「聞こえ」が低下してくると聞こえにくくなります。また、周波数分解能や時間分解能が劣化してくると、数人の方が同時に話し出すと、聞きたい人が何と言っているのかも分かりづらくなります。
加齢性の難聴は高い音から徐々に聞こえにくくなっていきます。電子レンジの「チン」という音やドアのチャイム音は比較的高い周波数の音になります。
「聞こえ」が悪くなると、「何度も聞き返すのは申し訳ない」「聞き返すのは面倒」などの理由で相手の言ったことを推測で判断してしまうことがあります。
騒音の多いところやうるさい環境に長く居ることは、それだけで難聴になりやすい状態にあると言っても過言ではありませんので、耳を休ませることも大切です。
聴力が低下している人がテレビを見る場合、少しでも聴き取りやすいようについつい音量を上げるため、一緒にテレビを見ている人にとっては、うるさいと感じる音量になっていることが多いようです。